新卒採用ダイレクトリクルーティングサービスの傾向と選び方
企業が直接、学生にアプローチする「新卒採用ダイレクトリクルーティング」は、人材獲得競争を勝ち抜くための有効な一手として、取り組む企業が増加している採用手法。自社に合った優秀な人材を効率的に採用できる手法として、注目されています。また、コロナ禍をきっかけに採用活動のオンライン化が加速し、企業と学生との接点強化が求められる今、その効果に期待が寄せられています。
そこで今回は、新卒採用にダイレクトリクルーティングが必要とされる背景を整理するとともに、導入のメリット・デメリットやサービスの選び方・比較ポイントを紹介します。
目次
『新卒採用ダイレクトリクルーティング』とは
そもそも新卒採用ダイレクトリクルーティングとは、どのような採用手法なのでしょうか。新卒採用ナビサイトや人材紹介との違いとともに見ていきます。
point. ダイレクトリクルーティングは“攻め”の採用手法
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求める人材に対して直接アプローチする採用手法のことです。従来の応募を「待つ」採用手法ではなく、「攻め」の採用手法といわれています。
中途採用ではすでに広がっている手法ですが、昨今は新卒採用においても取り入れる企業が増加しています。新卒採用ダイレクトリクルーティングの活用例としては、以下のものが代表的です。
1. 新卒ダイレクトリクルーティングサービスを活用
学生のデータベースを提供する、新卒ダイレクトリクルーティングサービスを活用。データベースから自社が求める人材を探し出し、オファーやスカウトメールなどでアプローチします。
2.大学のOB・OGのつながりを利用
OB・OG社員を通じて気になる学生を探し出し、アプローチしていきます。
3.イベント・セミナーでの接点づくり
イベントやセミナーを開催して学生との接点をつくった上で自社が求める人材を見出し、直接アプローチします。
このように、新卒ダイレクトリクルーティングでは企業が自らターゲットとする人材を探し出し、接点を持つ中で、自社への興味喚起や理解促進を図りながら採用につなげていきます。
point. 新卒採用ナビサイトや人材紹介との違い
新卒採用の代表的な手法には、新卒採用ナビサイトや人材紹介が挙げられます。ダイレクトリクルーティングとの違いを以下に整理しました。
ダイレクト リクルーティング | 新卒採用ナビサイト | 人材紹介サービス | |
---|---|---|---|
特徴 | 企業自身で人材を探し出し、スカウト等の採用活動を進める | 求人情報を掲載し、候補者を集める | 自社の要件に合う人材を 紹介してもらう |
工数 | 候補者への対応にかかる工数が多い | 母集団形成後のスクリーニングが必要 | 人材紹介会社が スクリーニング→クロージングまで行うため、工数は少ない |
母集団形成 | 自社が求める人材で 母集団形成が可能 | 母集団形成はしやすいが、求める人材で形成できるとは限らない | スクリーニングされた人材で母集団形成ができる |
費用 | 利用するサービスによって変動する | 採用の有無に限らず、 一定の掲載料金がかかる | 成功報酬型が基本。 採用が発生しない場合は かからないが、採用単価は高め。 |
表からわかる通り、新卒ダイレクトリクルーティングの大きな特長は、自社が求める人材で母集団形成できる点です。採用担当者の工数がかかる傾向にありますが、費用を抑えながら自社とマッチングする人材を獲得することが可能です。
新卒採用ダイレクトリクルーティングが必要とされる背景
新卒採用においてダイレクトリクルーティングのニーズが高まっている理由として、大きく次の三つの点が挙げられます。
- 売り手市場・採用の早期化による人材獲得競争の激化
売り手市場が続く新卒採用では、できるだけ早期に学生と接触して優秀な人材を囲い込もうとする動きが活発化しています。こうした状況下では、さまざまな手法を用いて自社をアピールしなければ、企業は人材を獲得できません。特に学生の認知度が低い業種や中小企業では、苦戦を強いられる状況となっています。
待っているだけでは立ち行かない状況を打破する手段として、自社が求める学生に直接アプローチするダイレクトリクルーティングのニーズが高まっているのです。
- 採用コスト・採用手法の最適化
従来の採用手法の課題として、採用コストがかかりすぎてしまうことが挙げられます。また、母集団形成の質や選考辞退も、多くの企業が抱える課題です。
たとえば、新卒採用のスタンダードな手法であるナビサイトは、認知度アップや母集団形成に役立ちますが、応募者の質にばらつきが出やすいほか、採用に至らなかった場合も一定の掲載費用が発生します。人材紹介は、求める人材を紹介してもらえるものの、優秀な人材を獲得しようすると採用単価が高くなり、大量採用の場合は予算に合わないケースも出てきます。
このように、それぞれの手法には一長一短があるため、自社の採用目標に応じてコスト・手法を最適化することが重要です。ダイレクトリクルーティングは、これまで課題となっていたコスト面と母集団形成の質を補完することが可能な手法です。従来の手法と組み合わせることで採用活動の最適化を図りやすくなることから、新たに取り入れる企業が増加しています。
- オンライン採用の加速による学生との接点づくりにおける変化
新卒ダイレクトリクルーティングが必要とされる三つ目の理由は、コロナ禍をきっかけに、採用活動のオンライン化が加速したことです。
ナビサイトなどを通じて、多くの学生を会社説明会に呼んで面接をする、といった手法がとりづらくなりました。その代替手段として、主にオンラインを通じて直接学生にアプローチできる手段としてダイレクトリクルーティングが注目されているのです。
導入するメリット・デメリット
新卒採用にダイレクトリクルーティングを導入するメリット・デメリットを以下に整理しました。
[メリット]
①採用活動のトータルコスト削減に寄与
新卒採用ナビサイトの場合は、採用人数が多くなるほど一人あたりの採用コストは下がりますが、採用の有無にかかわらず一定の費用が発生します。人材紹介を利用して採用した場合は、成功報酬が都度発生します。
新卒ダイレクトリクルーティングサービスの料金形態は、定額制または利用料+成功報酬のパターンが主流で、従来の手法に比べると採用単価を抑えることが可能です。新卒ダイレクトリクルーティングで一定以上の採用ができるようになると、採用活動のトータルコスト削減につなげられるというメリットがあります。
②自社が求める人材へのアプローチが可能
新卒ダイレクトリクルーティングサービスでは、学科や保有スキル、地域などの特性から自社が求める人材を選び出してアプローチすることができます。選考プロセスの工数を削減できるほか、自社が欲しい人材に絞り込んだうえで注力できるため、より効率的な採用活動を展開できます。
③母集団の質が向上
新卒ダイレクトリクルーティングサービスの特長は、データベースに登録されているさまざまな学生と直接コンタクトを取れることです。
新卒採用ナビサイトでは知名度や露出度によって応募数や質に影響が出ますが、学生に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングでは、企業の認知度にかかわらず自社が欲しい人材と接点を持つことができます。そのため、自社が求める人材だけで母集団形成できるというメリットを得られます。
④採用スキルや体制の向上
ダイレクトリクルーティングでは、学生との接点の持ち方やアピール方法といったさまざまな活動を自社で行うことになります。PDCAを回していくなかで自社の課題や成功パターンといったノウハウが蓄積されていけば、採用スキルの向上につながります。
⑤採用ミスマッチの抑止
候補者と直接コンタクトをとる新卒ダイレクトリクルーティングでは、企業理念や事業内容、社風、キャリアプランなど、自社の魅力を一人ひとりに合わせて伝えることができます。密なコミュニケーションによって自社理解が深まれば、採用ミスマッチを防ぐことにつながります。また、入社意欲を高めるアプローチにより、内定辞退を抑止する効果も期待できます。
[デメリット]
①採用担当者の負荷が増大する
ダイレクトリクルーティングの魅力は、自社の状況に合わせた自由なアプローチ・運用が可能なことです。一方で、学生データベースからの絞り込みやアプローチ方法の選択、スカウトメール、個別対応といった工程を自社で行う必要があるため、採用担当者の負荷が高まりやすいというデメリットもあります。
ただし、他の採用手法でも選考時のスクリーニングやフォローといった工数は発生します。ダイレクトリクルーティングでは自社が欲しい人材に絞り込んで注力するため、工夫次第では効率的な運用も可能です。
②ノウハウによって効果に差が生じる
ダイレクトリクルーティングは、ターゲットに合わせてアプローチしていくことが成功につながります。他の採用手法とは異なるノウハウが必要となるため、自社の採用力によって効果に差が生じやすい手法といえます。取り組む際は、自社にとって有効なアプローチ方法を検証しながら、ノウハウを蓄積していくことが必要です。
③長期的な取り組みが必要
ダイレクトリクルーティングでは、ターゲットの絞り込みから入社意欲の醸成まで、さまざまなステップを経て成果を上げていきます。そのため、スタートすればすぐに成果が上がるものではない点に注意が必要です。ノウハウを蓄積するには、PDCAを回しながら検証と改善を重ねることが重要です。長期的な取り組みが必要になることを、視野に入れておく必要があります。
株式会社モアカルでは新卒ダイレクトリクルーティングサービスの運用代行『スカウトポーター』を提供しています。
特徴としては、スカウト配信〜一次選考までをワンストップでサポートすることにより、企業の採用担当者の負担を軽減。代行することにより、より効率的な採用活動を行うことが可能となります。
市場のあらゆるスカウトサービスを利用可能。弊社担当者がこまめな打ち合わせを実施しながら、採用活動を伴走させていただきます。
サービスの詳細を知りたい、お見積をってみたいという方は、お気軽に下記ボタンよりお問い合わせください。
サービスの選び方・比較ポイント
新卒採用にダイレクトリクルーティングを取り入れる企業が増えるなか、便利な機能を備えたさまざまなサービスが提供されています。ここでは、新卒ダイレクトリクルーティングサービスの選び方・比較ポイントを見ていきます。
point. 自社が求める学生が登録しているか
まず確認しておきたいのは、自社が求める学生が登録しているかどうか、ということです。以下の点に留意しながら比較するとよいでしょう。
●登録学生数
●大学属性
●学部系統
●エリア
●登録学生の年次
特定の学部に絞り込みたい場合は、学部系統も確認しておくことをおすすめします。また、サービスによっては大学1年生から登録されており、早期の接触が可能です。イベントやインターンシップへのオファーなどを通して早期に認知拡大ができるため、必要に応じてチェックしておくとよいでしょう。
point. 自社が求める機能・サービスを提供しているか
新卒ダイレクトリクルーティングサービスでは、マッチング力を高めるためのさまざまな機能が提供されています。
・検索機能
基本情報・保有スキル・経験・適性検査などから自社に適した学生を絞り込む機能
・オファー・スカウトメール送信
興味がある学生にオファー・スカウトメールを送信できる機能
・管理機能
採用計画やオファー管理、選考管理ができる機能
ただし、機能の詳細は各社で異なります。特に、自社が欲しい学生を探し出す検索機能は各社がさまざまな工夫を施しているので、自社の利用シーンを念頭に置きながらチェックすることが重要です。また、自社が求める学生を精度高く抽出できるよう、性格や価値観を定量分析しているサービスもあります。
このほかにも、スカウト代行やコンサルティングによるサポートを提供しているサービスもあります。
point. 料金形態は自社に合っているか
新卒ダイレクトリクルーティングサービスの料金形態は、各社で大きく異なっています。大きく分けると、次の3パターンとなっています。
- 成功報酬型
- 利用料+成功報酬
- 定額制
このほか、初期費用がかかる場合や大学1~2年生との早期接触には早期利用料が発生するケース、スカウト上限数によって費用が変わるなど各社で料金プランが異なります。自社の採用目標や用途と照らし合わせながら検討するとよいでしょう。
ここからは、実際にどのような新卒採用ダイレクトリクルーティングサービスがあるのかを見ていきます。
株式会社i-plugの「OfferBox」は、業界最大手の新卒ダイレクトリクルーティング。毎年約20万人ほどの学生が登録するスカウトサービス。アプリ等も用意されており、オファーメールの開封率も80%以上と高反応率なサービス設計になっています。詳細をみる
株式会社グローアップの「キミスカ」は、17万人以上の学生が登録しており、うち約半数はMARCH・国公立以上の学生、というサービス。選考を受けた会社などの選考状況が掲載されているので、プロフィールだけでは読み取れない志向性、思考力(適性検査の通過実績)などを見ることができます。詳細をみる
株式会社ベネッセi-キャリアの「dodaキャンパス」は、国内最大規模の新卒向けダイレクト・リクルーティングサービスです。就活生だけでなく低学年層への認知拡大のほか、採用ブランディングにも活用することができます。詳細をみる
株式会社POLの「LabBase」は、理系分野特化型スカウトサービス。全国の約7割の理系学生が登録すると言われている、新しいダイレクト採用サービス。テック・サイエンス人材を求めるならココ!分野が決まっているため、企業・学生ともにミスマッチが起こらないという大きなメリットがあります。詳細をみる
アフターコロナでも効力を発揮する新卒ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら出合いをつくり、自社に引きつけるための「口説くノウハウ」が求められる手法です。アフターコロナにおいてもオンライン採用が波及することを見据えると、早い段階でのコミュニケーションを可能にするダイレクトリクルーティングは、今後さらに注目を集めるでしょう。各企業が優秀な人材の獲得を競う中、“攻め”の採用手法を取り入れた戦略が今後は必須となりそうです。
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ではまた!