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福利厚生とは、給与や賞与以外に企業が従業員に提供する施策・取り組みのことを指します。

企業には経営戦略の手段として、従業員や求職者にとっては働きやすさの要素として重要視される制度の一つでしょう。昨今はコロナ禍の影響が福利厚生制度にもおよび、在宅勤務/テレワーク化によって一部の企業では福利厚生の代表格ともいえる通勤交通費を廃止するといった変化が起きています。
また、人的資本経営が注目されるなかで健康経営やエンゲージメント向上、リスキル、タレントマネジメントといった新たな経営戦略の潮流が起こり、福利厚生についても従業員のパフォーマンスの最大化を図る制度へとトレンドが移行しつつあります。

本記事では、福利厚生の目的と種類を改めて整理したうえで、今後の制度設計に必要な視点について紹介します。


福利厚生とは?取り組みの目的と種類

福利厚生とは、「企業が従業員とその家族に対して行う、給与や賞与以外の施策・取り組み」の総称です。「福利」「厚生」という言葉の意味を考えると、その取り組みが従業員の幸福や生活の充実をもたらすものととらえられます。なぜ福利厚生が今、必要なのでしょうか。

福利厚生を充実させる目的

企業が福利厚生を充実させる目的は、2つあります。

①Work Engagement(仕事に対する意識や行動)の向上
 →生産性を高める

②Employer Engagement(組織に対する意識や行動)の向上   
 →採用の活性化と従業員の定着に繫げる


事業成長のために従業員の生産性を高めることはもちろん、人材確保の観点での取り組みは、今後労働人口の減少が見込まれる中ではさらに重要視されることでしょう。

福利厚生の種類

また、法定外福利厚生は大まかに以下の8種類に分類されます。経済的な支援から能力開発を促すものまで種類は多岐にわたり、メディアに取り上げられるようにユニークな取り組みを行っている企業も多くあります。

①慶弔・災害
②休暇
③医療・健康
④通勤交通費・住宅
⑤文化・体育・レクリエーション
⑥勤務時間
⑦財産形成
⑧自己啓発・能力開発

また、近年注目されているウェルビーイングに繫がるような、QOLの向上効果(従業員の健康や心身の安定)のある福利厚生制度も注目されています。これも前述のEmployer Engagementを向上させる効果があるといえるでしょう。

どのような種類の福利厚生であっても、従業員の意識によい変化が起こることでエンゲージメントが向上し、結果として企業へのメリットに繫がります。そのため、制度を提供する企業側の狙いと従業員の満足感がうまくマッチする必要があるでしょう。


福利厚生は採用の切り札にも

2023の就活生は『企業の安定性=福利厚生の充実』と捉えている

参照:「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」

また2023年の就活生の「企業に安定性を感じるポイント」では、福利厚生の充実が1番に挙げられました。
学生の多くは知名度や会社の規模よりも、自分にとって「安心」して働ける環境であることに企業の安定性を感じているようです。一方で傾向として、大手企業志向の学生が減少し、中堅・中小企業志向が増加しています。学生にとって「大手企業=安定」というイメージはなくなりつつあり、「安定」の定義が多様化していることが推察されます。
ベンチャー・スタートアップや老舗の中小企業でも福利厚生を整えることは若手人材の採用活性化への手段の一つになっていることもこちらのデータでよくわかります。


福利厚生の現状とは?人気のある制度は縮小傾向?

人気のある福利厚生

では従業員の満足感を高めるためには、どのような制度が有効なのでしょうか。一般的に、従業員に人気がある福利厚生には以下の例が挙げられます。

・寮社宅・住宅手当
・レクリエーション関連(例:スポーツジムや宿泊施設の割引制度)
・法定外の健康診断(例:人間ドック)
・社食・食事補助

また、法定外福利厚生は任意の制度であるため、ユニークな福利厚生も多数存在します。

・部署をまたいだ交流補助
・英語をはじめとする外国語講座の提供
・ヨガ講座の提供
・昼寝
・福利厚生としての短時間勤務制度
・妊活サポート

これらは一例ですが、企業があらゆる取り組みを通じてエンゲージメントの向上を図っていることが理解できます。

企業側が注力したい福利厚生

次に、「企業側が福利厚生制度をどのように変化させていきたいのか」を考察すると、必ずしも従業員の満足度の高い制度を強化する傾向にはないようです。企業が注力したい福利厚生の領域は以下であることがわかりました。

・健康経営
・メンタルヘルス対策
・両立支援(育児・介護)


働き方改革やストレスチェックの義務化といった政府の動きのほかに、人的資本経営・健康経営のトレンドが反映されています。従業員のパフォーマンス向上や家庭の事情で十分に働けない時期への支援を行うことによって労働力を確保することが狙いでしょう。

企業側が縮小したい福利厚生 

一方で、縮小したい福利厚生に挙がっているのは以下の2つです。

・寮社宅手当
・家族手当

この2つの手当は伝統的な「夫と専業主婦と子どもの世帯」を念頭に制度設計されていることが多いですが、現在はそのような世帯は少数派になっています。そのため、費用対効果が低いことや、成果と直接関係しない個人の状況に応じたサービスは、同一労働同一賃金の考えに馴染まないことが背景にあるでしょう。

実際に経団連の2019年度における調査からは、住宅関連が法定外福利厚生費の48.2%を占めていながらも、金額としては減少傾向にあることが読み取れます。

経団連 第64回福利厚生費調査結果報告 http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/129_honbun.pdf 

しかしながら前述の通り、寮社宅手当のような住宅手当はレクリエーションと同様に従業員からの人気が高い福利厚生制度です。これは、生活費に占める固定費削減に目に見える効果があり満足感を得やすいためと考えられます。

社会情勢としても、所得の低下傾向と同時に今後も物価上昇が続くものと見込まれています。このような中で、社員の生活基盤を支えるためには財形貯蓄や社内預金といった福利厚生制度も有効に思われますが、現在の低金利では満足を得られる状況ではないでしょう。

そのため、生活費のうち固定費の削減に繫がる住宅関連の福利厚生制度を再設計することも従業員のエンゲージメントを高めるには有効と思われます。

在宅勤務/テレワーク化が進んでいる場合は、住宅手当の代わりに電気代や通信費の補助としての「テレワーク手当」を支給する方法もあります。そうすることで、実質的に居住にかかる費用の補助にも繫がると同時に、居住地や居住人数に連動しないため住宅手当以上に平等性が高いといえます。


従業員と企業双方の利益のために意識すべき福利厚生のトレンド

これまでに触れた通り、従業員が制度へ満足できることでエンゲージメントが高まり、結果として企業の狙いに沿った効果を発揮するでしょう。
効果を最大化するためには、従業員の満足感を得やすいという意味で一般的に人気のある制度を参考にすることも一策です。しかしそれだけでは、絶えず変化する社会情勢や健康経営・人的資本経営等の人事トレンドに順応しきれず、効果を最大化できません。このことを意識した制度設計に向けて、トレンドを考慮した事例をご紹介します。

①健康経営に向けた福利厚生

健康診断のオプション
補助健康保険組合と連動して通常の健康診断/人間ドックへ付加するオプションの補助を拡充することで、健康経営で肝要な「従業員の健康管理」を支援できます。特に女性の場合はオプションの種類と金額が病院によって多様であるため、補助があることによって選択の幅が広がれば利用促進に繫がるでしょう。


禁煙補助
また、禁煙は「人生100年時代」という単語や定年延長が話題になる中、ミドルシニア層の健康リスクを低減するために重要視されています。喫煙に関する医療制度が広まったことから、より効果的な医療の場につながるような禁煙外来補助制度を設けるとよいでしょう。

②多様な働き方を支援する福利厚生

男性育休の取得促進
2022年4月および10月に育児介護休業法の改正が施行され、企業には男性育休の取得促進が義務化されます。このことを受け、男性育休の取得率を上げるための祝い金や特別有給休暇を新設する企業が増えています。

フルフレックス勤務制度
在宅勤務/テレワーク化とともにフルフレックス勤務制度も広がっています。勤務途中に家事育児・登園などを挟みつつ勤務できることから、子どもがいる従業員の採用や定着につながっています。
一方で、既存の両立支援では病児保育やシッター利用は数百円程度の補助を利用しても高額であること、介護保険適用外への援助がない等、手続きの手間をかけて利用するほどではなく実態としては利用されづらいサービスもあります。こちらに関しては従業員の年齢分布や子どものいる従業員の割合、他の休暇制度とバランスを取りながら見直しが必要です。

③人的資本経営に向けた福利厚生

リスキル
人的資本経営の観点から、自己啓発・能力開発は最も有効な未来への投資です。
一般的に研修といえば全員が対象の新人研修の後には幹部候補者研修や管理職初任者研修、階層別・選抜研修がありますが、これらを受けられない従業員も存在します。
昨今、研修を受けられない従業員が40代・50代になって非戦力化した際の対応が特に注目されています。そのため、非戦力化する前のミドル層に対してのアウトリーチ型のキャリア相談や、そこから生じる学習機会への補助、資格取得補助または資格合格時の補助といった福利厚生サービスを促進できるとよいでしょう。

能力開発
日々のスキルアップが必要な従業員には書籍代のサポートが人気です。
たとえば、チームでまとめて同じ本を購入し、読書会を行うこともチーム全体のスキルアップに有効ではないでしょうか。


福利厚生を外注するメリット

福利厚生を外注する企業も増えてきています。企業・従業員それぞれにとってのメリットとは何でしょうか?

低コストで経営の効率化ができる

経営資源の選択と集中を進め、コストを管理し、経営の効率化を図ることは企業規模に関係なくとても重要です。
多様な福利厚生を自社で整備するには、業務時間や導入費用などのコストがかかります。福利厚生サービスを外注することで、コストを抑えつつ経営の効率化・担当者の業務効率化を図れます。

柔軟な福利厚生の提供が可能になる

ライフスタイルが多様化するにつれ、従業員が会社に求める福利厚生の種類も多様化しています。従業員が多い場合、全員のニーズに対して自社で導入し管理するのは困難です。
福利厚生サービスを利用することで、質が高く幅広いサービスを従業員に提供することが可能になります。

従業員の満足度が向上する

近年、福利厚生の充実を重視する従業員が増えています。少子高齢化が進み人材確保が課題となっている今、福利厚生サービスを利用することで従業員の生活を支援し、満足度の向上を図ることは不可欠です。


エンゲージメント向上を目指して、適切な福利厚生の見直しを

ここまで福利厚生の目的とその効果を最大化させるためのポイントを考察しました。
働き方改革やコロナ禍を受けての状況変化、健康経営や人的資本経営などの人事トレンドに対応しつつ、下記の両方をバランスよく取り入れていくことが必要です。

①Work Engagementの向上=生産性向上
②Employer Engagementの向上=採用の活性化・従業員の定着

さらに、どのようなバランスが適切かは企業ごとの年齢構成や従業員の属性分布により異なります。一般的に人気のある制度やトレンドを参考にしつつも、自社に合った対応をとるべきでしょう。
また、エンプロイヤー・サーベイの技術的進歩や普及によって、以前に比べ「従業員の満足度や利用状況」を定量的に把握しやすくなりました。これからの経営戦略を担う人事として、人事施策の定量評価を行うことも重要な視点です。福利厚生制度についても同様に、定期的な見直しを図るとよいでしょう。


多様なニーズを把握し、従業員をサポートできる福利厚生を

時代とともに多様化するニーズに合わせて福利厚生は変化してきました。福利厚生を充実させることは、企業・従業員双方に様々な効果を生み出します。
まずは自社でどんなニーズがあるのかを把握し、日常から従業員をサポートできる施策や福利厚生サービスを検討してみてはいかがでしょうか?


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